水素水の真相
【アンチオキシダントの理解】
水素水、水素豊富水には「アンチオキシダント効果がある」と言われています。
しかしその作用機序に関する説明の多くは核心を欠いており、納得出来るものではありません。
一般に、アンチオキシダントのコンセプトにおいて最も欠如している部分は、アンチオキシダントの還元力、抗酸化力と、人間がエネルギーとしているものとは本質的に同じものであるということです。
アンチオキシダントはフリーラジカルに電子を供給することで抗酸化力を発揮します。
これは生物が、アンチオキシダントを小さな電池として使用しているということを意味します。
【信用度ゼロ】
水素水の効用に関する説明でよく出てくるのは次のような下りです。
「水素水は非常に有効なアンチオキシダントであるけれども、抗酸化力が強すぎないため、最も強力なフリーラジカルであるハイドロキシル・ラジカルのみを還元する。」
「フリーラジカルには善玉と悪玉があり、水素水は悪玉のハイドロキシル・ラジカルのみを消去し、有用で酸化力の低い善玉フリーラジカルとは反応しないので効果が高い。」
「水素原子はもっとも小さい原子であるから、身体中のどこにでも行き渡り、他のアンチオキシダントでは効果を発揮できない部分にも到達する。」
これらは水素水がいかに優れたアンチオキシダントであるかを示すための謳い文句となっています。
確かに次に挙げる要点はどれも間違ってはいません。
・ 水素分子は比較的弱いアンチオキシダントである。
・ 水素分子の還元力はさほど強くないため、最も酸化力が強いラジカル、ハイドロキシル・ラジカルとしか反応しない傾向にある。
・ 水素原子は他のアンチオキシダントでは到達出来ない部分にまで効果を及ぼす。
しかし、これらをつなぎ合わせても、肝心の部分、水素水中の水素分子が直接ハイドロキシル・ラジカルを緩衝しているというような作用機序の裏付けにならないことは明らかです。
水素水を飲むことで、ハイドロキシル・ラジカルの発生が抑えられ、酸化ダメージが抑えられたというのは、幾度となく報告されています。
ところが、経口で摂取した水素水に含まれる水素分子が、ハイドロキシル・ラジカルを直接還元するのは不可能です。
体内でハイドロキシル・ラジカルが発生して消え去るまでの時間(ハーフライフ)は、1ナノ秒(1秒の百万分の一の千分の一)とされています。
実際問題として、ハイドロキシル・ラジカルのダメージを抑えるには、その発生を抑える以外に有効な方法はありません。
経口の水素分子がハイドロキシル・ラジカルの発生場所を知り、瞬時にそこに到達して消去するかのような記述はタブーです。
そうでなければ、信用はゼロとなります。
【フリーラジカルの理解】
先ほどの説明に重なりますが、墓穴を更に深く掘り下げているのが、次に挙げる記述です。
「フリーラジカルには善玉と悪玉があり、水素水は悪玉のハイドロキシル・ラジカルのみを消去する」
フリーラジカルと言われる物質群は時と場合によって役割が変わるため、単に属性として「悪玉・善玉」と全てを振り分けられるものではありません。
多くのフリーラジカルはその反応性の強さから、状況を伝える信号として組織内で利用されたり、ウィルスを殺傷する武器として使用されたりしています。
「闇雲にフリーラジカルを消去するのはよろしくない」という意見は正しいとしても、それを「一般のアンチオキシダントは見境い無しにフリーラジカルを消去するので効果が薄い」とか、「水素水には選択性があるので他のアンチオキシダントよりも優れている」というような言説を唱える基礎にしたりすると、余計にデタラメを露呈することになります。
悲しいかな、こういった根も葉もない理論は、多くの商業ページで見受けられます。
アンチオキシダントには、フリーラジカルの受け皿を増やす役割もあるため、武器としての活性酸素が余分に使える環境を作ることになります。
「糖質を大量に摂ると免疫力が一時的に下がる」と言われるのは、糖質の代謝によってアンチオキシダントが奪われ、武器としての活性酸素を使える上限が下がるからです。
その裏返しで、アンチオキシダントを大量に摂ると、活性酸素が増加して病原体を殺すことに繋がる場合が多くあります。
アンチオキシダントが闇雲に活性酸素を消去してしまうのであれば、風邪を引いたといってビタミンCを摂ると、病状がたちまち悪くなってゆくはずです。
【効能の哲学】
アンチオキシダントがバッテリーであることは最初に述べました。
水素水が弱い抗酸化物質である、という言説はさて置き、水素水摂取によって炎症系サイトカインの放出が抑えられ、より多くの抗酸化物質が作り出される、というような好ましい変化が遺伝子レベルでもたらされるということは、従来的には驚異として捉えられています。
不思議なもので、水素水に含まれる水素分子が直接的な化学反応で遺伝子に影響を及ぼしている、というようなことを言う人は流石にいません。
口から入ってきた水素分子が身体組織内のハイドロキシル・ラジカルを探し出して瞬間的に消去するというようなことを言うのであれば、「水素分子は遺伝子を操作する」と言ってしまっても同じことのような気がします。
実際、in vitro(試験管)のとある実験においては、水素分子が弱いラジカルとして働き、細胞はそのラジカルへの対抗策として遺伝子を変化させる、ということが確認されています。
いずれにせよ、アンチオキシダント説にしろ、弱いオキシダント説にしろ、水素水の効用における作用機序とするには、余りにも的外れです。
現在謎となっているのは、広範な病態において改善効果が報告され続けているということであり、これら全ての効能を、たった一つの原子を軸とした生理化学反応として立証しようとするのは無謀であるばかりか、可能性ゼロとして真っ先に除外されるべき仮説であると感じます。
極端に言うと、水素分子から少し離れなければ、実像が見えることは決してありません。
私は水素水を普通に飲んでいます。
市販の小さな水素水生成器を持ち歩いて常に飲んでいます。
「水素水の効用」がある程度ブームとなる前から、水素水とは水素分子が豊富に溶存している水であるということを読んだ瞬間に、「そりゃあ効用があるでしょう」と確信しました。
そう感じたのは、健康産業とは全く別の分野からの視点を持っていたからです。
それから2年くらい飲むことはありませんでしたが、最近は安価になってきたので飲んでいます。
水素水研究の第一人者である太田教授は、その昔、水素分子の効能を高く評価し、水素ガス吸入器を使用した実験を繰り返したと言います。
結果は、水素を溶かしこんだ水素水に比べ、あまり芳しくなかったようです。
先ほども言いましたが、水素分子そのものの属性として健康効果を考えることで、かなり照準がずれてしまっている場合が多いようです。
水素分子そのものの属性を考えることは、決してデタラメでは無く、除外することの出来ない部分ですが、本質の重心は別のところにあります。
水素ガスの効力が水素水に劣るという部分にもヒントはあります。
【エネルギーの哲学】
我々がエネルギーと呼んでいるもので分かりやすいものは石油でしょうか。
石油を燃やした時の熱のエネルギーで電力や動力を作って、今の世の中は回っています。
石油が重宝されるのは、採掘のコストに比べて、そこから得られるエネルギーが格段に大きいということに尽きます。
例えば、一つの石ころ程度の大きさで人間社会全体のエネルギーを1か月賄える物質があったとして、それが大都市の近くにあれば良いですが、火星にしか無いとなると、例え入手出来るとなっても採算がとれるかどうか、はたまた最効率のエネルギー源となるかどうかは疑問となってきます。
石油は自然に出来たものですから、わざわざこしらえる必要も、地球から購入する必要もありません。
これはコストが優れているという部分です。
では次に、エネルギーが大きいということは、どういうことでしょうか?
単位あたりの量を燃やした時に発生する熱の量が大きいということですね。
ここで終わることも出来ますが、一段階だけ掘り下げてみると、エネルギーが大きいということの本質がより明らかになります。
エネルギーが大きいということは、結局、そこに蓄積されているエネルギーが大きいということです。
つまり、それだけ多くのエネルギーがいつかどこかで「入った」ということです。
エネルギーが「入る」 ことが無い限り、我々がエネルギーを取り出すことは不可能です。
また、「入った分」以上のエネルギーが取り出されることはあり得ません。
石油は地中深く、マントル近くの高温と高圧のエネルギーが凝縮されたものであるから、我々がそれを利用することが出来るのです。
徐々に本題に戻しますが、水素分子は1リットルにつき、1.6mg程度しか溶かすことが出来ません。
逆に言うと、水素ガスを水に溶かしこむには、かなりのエネルギーが必要であるということです。
そうやって出来上がった水素水も、少しの間放置すると、水素ガスが逃げ去って、ただの水になります。
つまり、エネルギーを「入れる」前の状態、元の水素ガスと水とに還るわけですね。
水素ガスを吸引しても、腸内細菌が水素ガスをブクブク発生させても、水素水に比肩する効果が無いのは、体外で注入したエネルギーを体内で放出するという「プラスのエネルギー収支」が成り立っていないということに一因があります。
【使えるエネルギー、使えないエネルギー】
「使える筋肉、使えない筋肉」という言葉がマッスルマン達の怒りを買い続けていますが、エネルギーには「使えるエネルギーと使えないエネルギー」が明確にあります。
使える、というのは正確に言うと、使い易いということであったり、安全であったり、コストが低かったりというような意味が含まれてきます。
地球上の生物の場合、使えるエネルギーとして使用してきたのは、太陽エネルギーとなります。
太陽エネルギーを利用するには、それを蓄積し、後で取り出せる形にする必要があります。
太陽エネルギーの蓄積にあたり、地球上の生物において、最も根源的なシステムは水の構造変化です。
太陽光線を受けた水は、そのエネルギーを多重分子構造として「捕獲」します。
水(H2O)は親水性の高い物質の表面において、H3O2- と H+ に分かれ、H3O2-が分子の大きさを一つの層として、100万層もの立体構造をとるようになります。
この分離した部分の電位差(電離)も分子構造と同じく、蓄積出来た太陽エネルギーということになります。
H3O2-の多重構造体は、ジェラルド・ポラック博士がEZ Water(排他水)と呼んでいる部分で、原子レベルで純粋であり、液体でありながら結晶のような構造を保持している「水」を指します。
水は構造を構築することでエネルギーを蓄え、それが壊れる際にエネルギーが放出されるということになります。
面白いことに、ジェラルド・ポラック博士も、ビタミンCを発見してノーベル賞を受賞したアルバート・セント・ジョージィも、元は筋肉を研究していた人です。
筋肉に関し、この水の話題に符合してくるのが、アルバート・セント・ジョージィの次の言葉。
「筋肉の動きは水の構造崩壊に始まる」
ジェラルド・ポラック博士も、「現在の筋収縮の説明には、最も重要である水の役割が欠落しているので意味が無い」と述べています。
確かに筋肉の7割は水です。
いずれにせよ、地球上の生物は、水のエネルギー蓄積能力を土台として進化してきており、これは動かし難い事実です。
【水のエネルギー】
水がエネルギーを蓄えるのは良いとして、では、水の蓄えるエネルギーは何でしょうか?
簡単な答えは太陽エネルギーとなりますが、もう少しだけ具体的に考えてみましょう。
要するに地球に降り注いでいる太陽光のスペクトルをある程度特定するわけです。
すると、地球に到達するスペクトルのうち、最も多いものが660nmあたりの波長であり、これは赤い光となります。
生物に対する赤い光の威力は凄まじく、赤い光を当て続けただけで、枯れていたバナナの鉢植えが完全に息を吹き返しました。
外に置いても枯れ方が酷くなる一方だったバナナですが、部屋に戻して赤い光の前に置いたところ、一週間くらいで見事に蘇生したのです。
660nmの光は、植物に限らず、生物が最も反応する波長であり、ある種、生命の源であるとも言えます。
この波長は実は、(水素)原子核融合炉である太陽が発する水素のスペクトルであり、生物がこの波長に特化した構造をしているのは自然なことです。
突き詰めると、水の多重構造は、この660nm、水素の波長に効率よく反応してエネルギーが蓄積されるようなフォーメーションをとるということです。
【水からエネルギーを取り出し、水に戻す】
水を電気分解すると水素と酸素に分かれますが、この水素を燃やしたバーナーで溶接を行うシステムが最近人気となっています。
水素を燃やすと水に戻るため汚染にもならず、高価なアセチレンガスを買う必要もありません。
同様に「水を燃やす」エンジンは世界各地で開発されパテントが取得されています。
現在注目を集めているのが、水を分離する際のエネルギーをいかに低く抑えるかということです。
一定量の水から取り出せるエネルギーが同じであるとすると、それを取り出すのに必要なエネルギーを小さくすることにより、エネルギー収支が改善されるのは明らかですね。
ところが、今までに何人もの発明家が主張していることで聞き捨てならないことがあります。
それは、水の分離に要したエネルギーの何倍ものエネルギーが、水素を燃やすことで得られたという証言です。
特に、ある周波数の音を利用して水を分解する場合のエネルギー効率などは、普通の説明が成り立ちません。
エネルギー効率が例え100%になったとしても従来の法則にはそぐわない現象となります。
既に発明家たちは、効率を疑うのでは無く、水を分離するエネルギー以外に、どこからエネルギーが入り込んでいるのか? を突き止めるための議論を交わしています。
今の段階では計測する技術が無いため、メカニズム解明には時間がかかりそうです。
電離の際、電極付近に発生するであろう微細なキャヴィティーにおけるプラズマがゼロ・ポイント・エナジーの影響を受け、それが水の構造として蓄えられるのではないかという想像が主流となっています。
【水素水の哲学】
太陽と水の反応から構造が発生して生命に繋がって行く前提には、水は与えられたエネルギーを効率よく溜め込む物質であるという事実があります。
水素水で言えば、水に圧力をかけて水素を水に溶かし込もうとするにしろ、電気や音波、光などで水を酸素と水素に分解しようとするにしろ、その過程でかなりのエネルギーが充填されることになります。
水を電離してゆく過程では、水分子が多重構造をとるだけでなく、水分子における二つの水素原子核が同じ方向にスピンしている(オーソ)分子が増え、電荷を強める形でエネルギーが蓄えられることも観察されています。
水から生命が進化してきたことを考えると、「水が蓄えたエネルギー」は、我々地球上の生命にとって、最もダイレクトに伝わり、使用できるタイプのエネルギーに違いありません。
残念ながら現在のところ、溶存水素濃度により水素水の効力が語られている背景には、水素分子が化学反応として直接及ぼす作用との相関を示唆するような見地しかありません。
しかし、1ppm水素水の99.9999%は水であり、水の状態とその影響を無視することは愚かであると言えます。
むしろ溶存水素濃度は、水素水の99.999%以上を占める水分子の集合体としての性質において、水素水製造過程で与えられたエネルギーがどれだけ保持されているかを示す指標となっているのではないか? と考える見地は不可欠でしょう。
最初から説明してきましたが、生きる力も、抗酸化力も同じエネルギーです。
エネルギーを内包した水に抗酸化力があるのは当たり前です。
エネルギーそのものだけでは無く、エネルギーを内包するフォーメーションをとった水には、生体内でクラスターを構築して存在している、バッテリーとしての水という側面があり、こういった水を体外から供給することは、あたかも生命を供給するかのような一面があって然るべきです。
昨年発表された研究では電解水の方が水素水よりも抗酸化力が高かったという結果が出ています。
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0171192
また、電解水の還元能力は一か月以上落ちません。
溶存水素ガスは数時間でどこかへ逃げていることでしょうから、水素原子を効能の拠り所とする必要はゼロです。
この抗酸化力の持続性について白畑教授 は水中のミネラルで水素原子が固定されているのではないかとしています。
しかし、水には与えられたエネルギーを内包する性質があることは、多くの現象から明らかです。
これを利用したのがホメオパシーであり、水素水も電解水もホメオパシーの一種と言えます。
その上、水素水に関して言うと、地球上の生命がエネルギーとして蓄えてきた波長は水素原子のスペクトルです。
水素水の溶存水素濃度が1ppmであると言っても、これは普通の水の溶存水素濃度がほぼゼロであることからするとかなり大きなインパクトとなります。
以前、水素水は飲むMRIなのだろうと言いましたが、説明する暇はありませんでした。
私は、水素水には水のフォーメーションとしてのエネルギーに加え、生命が基盤として共鳴する水素の波長が構造として刻印されているため、これを飲むと全身の組織を一瞬打診したかのように、あらゆる情報が交換されるのではないか? そして、そのデータに基づいて施されるべき処置や遺伝子の修飾が行われるのではないか? と考えています。
(MRI は体内の水素原子核の磁場による変化を観察することで、体内の状態を視覚化する技術です。)
事実、水素原子核=プロトンが神経伝達物質として機能しているという発表が最近出てきており、身体組織のフィードバック媒体としての水素水説を後押ししているように見えます。
水素分子自体に不可解な選択性を想定するのであれば、水素水が何らかの形で全身の情報を中枢に提供しているのだろうと考える方が、多岐にわたる病態改善の説明に適しています。
人体は正確な末端の情報と、使えるエネルギーさえあれば、あらゆる病態を克服できるように出来ています。
Toshiyuki Horie
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