プロテイン仮説

プロテイン仮説

資本家・メーカー・科学者・アジェンダ

実験・研究においては、研究の初期設定、研究結果の解釈、 またそれを受けた各種メディア媒体での記事・宣伝において何らかの主観が影響すると考えて間違いない。

ところが、被験者のデータや実験内容・結果が詳細に記録・発表されている場合、実験主催者の思惑をすっ飛ばして、デ ータだけをピュアに解析出来たりすることもあるのだ。

そうすることで驚くべき真理が見えてくることが、たまにある。 

過去のあらゆる研究を解析し直してみる → メタ・アナリシス

 過去の実験をつぶさに解析し直すことは「メタ・アナリシス」と呼ばれ、自分が本当に欲しいデータをゲットする際、なかなか 重宝する手法である。 

 「プロテイン」は一日どれくらい摂取すれば良いのか?という問題においては、皆さんもご存知の通り、古今東西でその定量的な指標が求められてきた。

一般には「除脂肪体重1キロあたり2グラム」というような当たり障りのない数値に落ち着いてきた感がある。  

「プロテイン」の効果における是非を問う人は、理屈っぽい人を除いて皆無となった今日、次の段階、つまりどれだけ摂るか という議題に焦点は移っている。 

「プロテイン」実験で賛否両論出てくるのは現実にそぐわない

プロテイン摂取の有効性に関し、いろいろな研究で賛否両論・バラつきがある。これは何十年もの間、現場であらゆるスポーツマンから太鼓判を押されているという現実に全くそぐわない。

そこで研究者たちは、多くの実験において前提条件に何らかの欠陥があるはずだと考えた。

まず手っ取り早いのは実験におけるプロテインの量とその差異が少なすぎるのではないかということだ。今どき、プロテインを1グラム一日1回摂って効果が出ると思っている人はいない。また同様に、普段より1グラム程度増やしたところで、何ら変化は見られないだろう。

最低ラインの発掘

「プロテイン」摂取に意味が無かったとするような研究や、大いに効果があったという研究の全てを踏まえ、最低限どれだけ、プロテインの摂取量に差異があると、それが筋発達の差として現れてくるのか?その最低ラインの存在を想定し模索することが発案された。

プロテイン摂取量の「最低差異」に関し、2つ の仮説が立てられ、それにもとづくメタ・アナリシスが行われたのである。

プロテイン・スプレッド仮説

これは、プロテイン摂取量と筋発達の関係において、プロテイン摂取群と非摂取群とで、最低でもある一定の量的差異が無い限り、実験結果として有意な相関が発生してこないのではないかという仮説である。つまりある実験において「プロテインに効果無し!」という結論が出ている場合は、比較対象グループ間でプロテイン摂取量の差があまり無いからではないか?という疑惑である。この仮説にもとづいてメタ・アナリシスが行われた結果、プロテイン摂取群と非摂取群との間には、最低でも、プロテイン量に66%の差異が必要であることがわかった。

プロテイン・チェンジ仮説

これは、同一グループにおいて実験前と実験中とでプロテイン摂取量を比較するもの。プロテイン摂取量と筋発達の関係において、実験前に比べ、、最低でもある一定量以上プロテインを増やさない限り、実験結果として有意な相関が発生してこないのではないかという仮説である。元々プロテインを日常的に摂っている人なら、少々プロテインを増やしたところで身体的インパクトが発生しないとしても当然だろう。この仮説にもとづいてメタ・アナリシスが行われた結果、最低でも、プロテイン量を60%増やさ無い限り、筋発達に影響が見られないことがわかった。 

メリー&ハリー

これらの仮説とそこからはじき出された数値は、今後も検証が重ねられるだろう。

いずれにせよ、プロテイン量を大幅に増やすだけで筋発達を加速することは間違いないようだ。
しかし際限無く増やし続けるわけにはいかない以上、維持期と発達期といったフェイズを意図的に設ける必要が見て取れる。


オフ・シーズンにはプロテイン量を若干減らしながら筋肉を維持し、オン・シーズンに入ったらドカンと増やしてインパクトを創出する、というような作戦も編み出されてくるだろう。

低蛋白と高蛋白を繰り返すこと、つまりメリハリが必須なのだ。 

ただしこれはプロテイン量だけを見ているので、他のファクターに工夫を加えればより少ないプロテイン増減で同様の効果もあることと思う。 

長期プラトーに陥った場合は一旦低蛋白をし、その後プロテイン摂取量を一気に増やしてみると確実に効果があるだろう。

鋭い人はもう気が付いている?

ざっと考えて有意な差異が見られるのは、ベースラインから約1.6倍にしたとき・・・ということは即ち、なんのことはない黄金比に収斂しているだけなのである。つまり自然現象。 

維持期や減量期に筋肉を落とさないためには、タンパク質量の最低ラインを黄金比以上、つまり高蛋白期の61.8%以上に保つ。高蛋白期には最低ラインを低蛋白期の161.8%に設定する 

具体例でいうと、低蛋白期には除脂肪体重1㎏あたり1.85g、高蛋白期には除脂肪体重1㎏あたり3gという、現場的にも納得しやすい数字が弾き出されてくる。


堀江俊之 

出典:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3509388/ 


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